今日の安全停止
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ここでは、ダイビングの仕事をしていて、日々気付いたこと、日頃思っている事などを、色々な思いを込めつつ、とりとめもなく綴っていきます。
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2007年3月30日
ダイビングインストラクターに求められる能力(水中スキル、知識)についてです。 ダイビングインストラクターは、ダイビングを知らない人にはダイビングの素晴らしさを伝え、既にダイバーの人には継続教育を通じて上のランクのスキルや知識を教えなくてはなりませんから、水中スキルと知識の双方を高いレベルで習得している必要があります。 しかし残念ながら、私が今まで出会ってきたインストラクターの中で、この両方をインストラクターとして求められているレベルで兼ね備えていた人は、それほど多くありませんでした。 インストラクターとしてギリギリ認定を受けるだけであれば、何かが欠けていても良いのかもしれませんが、インストラクターを生業にするのであれば高いレベルで両方を兼ね備えていないと困ります。 ではどの程度の能力がインストラクターとして求められているのでしょうか。
知識面では、まず教科書(スクーバダイバーからダイブマスターまで全ての)に書いていることは、自分で読んで不明な点が一切ないようになっていなければなりません。 そして理解した内容を自分なりに消化して、生徒に分かりやすく説明できる必要があります。 このレベルまできて、自分が完全に納得していたはずでも、思いもよらなかった質問が生徒から飛んできて困ったりする事もあります。 そのような場合も、正直に分からない事を生徒に伝え、後で調べてちゃんと生徒に回答していけば、さらに知識は広がっていきます。 苦手分野を作らず、常にアンテナを高くしておいて、役に立ちそうな書籍の情報や雑誌の記事などをこまめにチェックし、情報を獲得していく事なども大事です。
次に水中スキルですが、これは全てのインストラクターに、デモンストレーションレベルの能力が求められます。 デモンストレーションレベルの能力とは、ただ単に綺麗にスキルが出来るだけではありません。 各スキルごとに、上手くやるためのコツを知っていて、それを分かりやすく生徒に見せたり、説明したり、指導したり出来る能力も含まれています。 そういう能力がないと、インストラクターのデモンストレーションを見たまんま真似が出来る優秀な生徒を指導しているときは良いですが、そうでない生徒を指導するときには、生徒のスキルが身につかないと言う事になるからです。
上記のような知識と水中スキルが、インストラクターの試験に受かっただけで身に付いているかと言うと、到底無理です。 また、意識して身に付けようとしなければ、何年仕事として潜っていても、自然と身に付いたりもしません。 逆に何年も何も考えずに仕事をやっていると、だんだんごまかし方だけが上手くなっていきます。 どんなに忙しくても自分で時間を見つけて勉強したり、機会を作って水に入って何度も練習したり、多少効率が落ちても、じっくり生徒と向き合って出来るまで指導したりする事でのみ身に付くものです。 そうした自己努力を続け、初心者講習からダイブマスターまで、全てのコースにおいて必要とされる知識とスキルの両方を、完全に身に付けた人を一人前のインストラクターと言うのではないでしょうか。
あなたの周りには何人の一人前のインストラクターがいますか?
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2007年2月7日
プロダイバーの知識についてです。 ダイビング関連の知識の幅を拡げるには色々な方法があると思います。 世の中にはダイビングや海、海洋生物について書かれた書物がたくさんあり、それらを読む事はとても勉強になります。 色々な書物から多くの情報を得、それら全てを関連させ、厚みのある知識を構築する事はプロダイバーとして必須事項です。
その知識構築の中で核となるのが、それぞれの指導団体が発行している教科書です。 これはスクーバダイバー(オープンウォーター)の教科書から、インストラクターマニュアルまで色々ありますが、どれにも大事な事がたくさん書かれています。 これらはいわゆるプロダイバーのバイブルで、何度も読み返して、その度に理解をより深めていく物です。 何度も何度も読み返すと、単にそこに書かれている事を理解できるだけでなく、だんだんその行間まで読み取れるようになってきます。 この行間を読めるという事が重要で、これが出来ていると言うことは、自分なりに何が重要なポイントなのかが理解出来ていると言う事なのです。 しかしこの行間を読む作業は、誰にでもできる事ではありません。 そこには経験が必要になってきます。 どんなに賢くても、ダイビングの経験が無い、或いは少ない人が教科書ばかり何度読み返しても、そこから得られる物には限りがあります。 (ここで言う経験とは、ただ単に、何千本潜ったとか、何百人ダイバーの認定をしたとかではありません。 どれだけ真剣に課題を持って1本1本のダイビングを潜ったか、どれだけ真剣に生徒の達成目標(マニュアル通りでなく)、生徒の上達を考えて一人一人の講習を行ったかが経験の量を決めます。 ただボーっと潜っただけ、ただマニュアル通りに講習しただけでは、何回潜ろうが、何人認定しようが得られる経験は少ないのです。 例えるなら、草サッカー選手が何百試合草サッカーリーグの試合に出場するよりも、プロサッカー選手がワールドカップで1試合フル出場する方が何千倍も経験が積めるのと同じです。) 色々なダイビングの経験を積みつつ、教科書を読み返すと、読むたびに何かに気付き、何かが得られます。 これが積み重なっていく事でだんだん行間が読めるようになってくるのです。 こうして教科書に(直接)書いていない事で、自分なりに重要なポイントが分かり始めたら、それをガイディングやインストラクションに反映させます。 そうすると、安全で快適に楽しんでもらえるガイドや、自分にしか出来ないオリジナルな講習が出来はじめるのです。
プロダイバーとしては、教科書やマニュアルは指導団体が買えと言っているから買うわけでも、本棚を飾る為に買うわけでも、自分が生徒だったときに1回だけ読む為に買うわけでも、講習を実施する時、テストに出る所に印をつけて講義をやりやすくする為に買うわけでもありません。 仏教での経典、イスラム教でのコーラン、キリスト教での聖書の様に、何度も読み返し、そこから学び、自分なりの解釈を見つけ、他の人とその解釈について意見を戦わせ、プロダイバーとしての自分を高める為に所有するのです。
こんな事を言ったからといって、別に私は宗教団体の教主様ではありませんよ。 NAUI教の信者ではあるかもしれませんが(笑
プロダイバーの方で、教科書が本棚の肥やしになっている人はいませんか。
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2006年8月8日
先日、体験ダイビング中に、水中で韓国人のグループと出会いました。 彼らはPADIのオープンウォーターの講習をやっていたらしいのですが、見ていて目を覆いたくなりました。 ちょうど水中をマスク無しで泳ぐスキルをやっていたのですが、マスクを外した瞬間から、生徒はどう見ても力が入っていて、必死でこなしているだけと言う感じでした。 マスクはあわただしく外し、3m程泳いですぐ引き返し、元の場所に戻ったか戻らないかで、必死でマスクを着けています。 この間、担当のインストラクターもバタバタしながら、一緒に泳ぎ、時にはタンクを掴んで生徒の方向を変えたりもしています。 この状況が一人の生徒だけに限った事ではなく、見えた範囲だけでも三人はこんな感じでした。
この様なストレスの大きい状態でスキルをやらせても、危険な上に、頭も働いていないので、スキルは殆ど身に付きません。 何とかこなせたとしても、生徒に恐い思いをさせ、このスキル或いはダイビングに対する苦手意識を感じさせてしまう可能性もあります。 つまり百害あって一利なしなのです。
今回たまたま韓国人のグループを見かけたので取り上げましたが、今回の事例に限らず、このような、生徒にストレスをかけるバタバタした講習はしばしば見かけます。
なぜそうなってしまうのでしょうか。 原因としては、プール或いは限定水域でしっかり練習させておらず、生徒のスキルが十分身に付いていないまま海に来てしまったと言う事がまず考えられます。 そもそも講習と言うのは、限定水域でしっかり練習してスキルを身に付け、そのスキルを海に行って実際のダイビングに応用させていくもののはずです。 しかし実際には、少なくない数のインストラクターが、個々のスキルを限定水域で1、2回練習しただけで、大した評価もせず、OKを出して海につれてきているように見受けられます。 限定水域トレーニングだけで、生徒がスキルをデモンストレーションレベルで完璧に出来るまで指導する必要はありませんが、最低限、いつでもストレスを感じずに、落ち着いて、スキル毎の目標を達成できるようになるまでは指導しなければならないと思います。
原因でもうひとつ考えられるのは、生徒がまだ十分海に慣れて落ち着いていないのに、ストレスの高いスキルをやらせてしまったと言う事です。 プールで落ち着いていたとしても、海になると恐くなってしまうと言うのは良くある事です。 人それぞれ苦手なスキルは違ったりもします。 またエントリー後少しの間は、それなりにダイビングに慣れた人でもストレスが高い状態にあるものです。 このような生徒の状態を考慮すると、講習をスムーズに、ストレス少なく行う為には、常に個々の生徒の状態を気にかけ、ストレス具合を観察し、スキルを実施する順番やタイミングを決めていく必要があります。
良く目にするのが、型通り、いつでも指導団体が決めた講習スケジュールの順番通りに(団体によっては何本目に何と何を実施するかが決まっている)、そしてどんな場合でもエントリー後、生徒が集合したらすぐ、スキルを実施するインストラクターです。 教科書通りの講習がだめとは言いませんが、状況に応じて臨機応変に対応していく必要があると思います。 まず、エントリー直後は生徒のストレスが比較的高い状態ですので、スキルを実施する場合でも、十分生徒を観察して、ストレスレベルが下がって、頭がスッキリした状態になった事を確認してから始めないといけません。 もしスキルの練習に適さない状態の生徒がいた場合、先に水中ツアーを行うとか、少し場所を移動してみるとか、大丈夫な生徒のスキルを先に進めるとかして時間をとり、海に十分慣れてもらってからスキルを実施する必要があります。 実施するスキルの順番は、場合によっては、生徒にとって苦手で、ストレスが高くなるスキルは後に回して、まず出来るスキルを先に実施し、生徒に自信をつけさせ、海にも十分適応出来てから実施するとかの工夫も必要です。 指導団体の作ったスケジュールと言う物は、インストラクターになりたてで、講習経験の少ない人でも、取りあえずこの通りやっておけば、それなりな講習が出来ますよ、と言う目安見たいな物で、唯一絶対な物ではないのです。
今回たまたま見かけた講習風景で、特に気付いた事のみ書きました。
初心者講習は奥が深く、書き出すときりが無いので・・・
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2006年7月28日
ダイビング指導団体には、スクーバダイバー(オープンウォーター)からインストラクターまで、徐々に認定ランクを上げ、ステップアップできる継続教育というシステムがあります。 この継続教育に関してですが、誤解しているインストラクターが結構います。 よくある誤解が、継続教育は指導団体やショップ(自分たち)がお金儲けをする為にあると言うものです。 取り方の違いはあれ、結構多くのインストラクターが誤解しています。 この誤解には大きく二つのタイプがあります。 まず一つ目のタイプは、継続教育を売ればお金になるから、認定ランクが高ければ良い、カードを多く持っている事が素晴らしいとばかりに、お客様にカード取得が目的になるよう売り込むタイプです。 このタイプのインストラクターは、とりあえず講習は行いますが、真剣に教える気も、また教える実力もない為、お客様が講習を受け、実際にカードを取得しても、それに見合った実力は身に付いていないです。 高いお金を払った代価が、カード、教材、何回かのダイビング経験と言うだけの物になってしまい、上達したいと言う、そもそもの目的が達成されていません。 これでは詐欺にあったも同然で、たまたま運悪く出会ってしまった生徒は不幸です。 二つ目のタイプは、上記の様なインチキをしたくないと言う思いが強く、カードはオープンウォーター(NAUIではスクーバダイバー)だけで十分で、継続教育なんて受けるより、回数たくさん潜った方が経験も積め、上手くなるので、継続教育に使うお金があったら、1本でも多く潜った方が良いですよ、などとお客さんに言ったりするタイプです。 このタイプのインストラクターは、自分が継続教育を受けたときに、それを教えてくれたインストラクターが価値のある講習をしてくれなかった為、本当の価値を見出せておらず、自分はインストラクターに成る為に必要だったから取り合えず取ったけれども、一般ダイバーには必要ないのではないかと考えていたりします。 また、お金儲けだけのためにカードを発行するインストラクターや、カードだけ多く持っていて実力の伴わないお客様を多く目にしているため、継続教育はただのお金儲けの手段でしかないと思い込み、自分はそのような事をしたくないと思っていたりします。 ですので、決して悪気はなく、真剣にお客様の事を考えてアドバイスしてあげていますが、結果的にお客様の上達の機会を奪ってしまっています。 この仕事をしていると、独学でファンダイビングだけを繰り返して、自分は上手いと思っている方にも結構出会います。 確かに問題なく潜りますが、私たちインストラクターから見ると、知識も技術も未完成で、ちゃんと講習を受けていれば、これだけ潜る間にはもっと知識や技術も深められただろうにと残念に思います。
内容のある事を教えず、お金儲けだけのためにカードを発行する、一つ目のタイプの人は論外ですが、この二つ目のタイプの人も、継続教育の本質や価値が分かっていない為、知らない間にお客様に不利益を与えてしまっているのです。
継続教育とはそもそも何なのか。 ダイビングは非常に奥が深く、初心者が最初の数日間の講習だけで学べる事には限界があります。 また、上級者の指導無しに、ただ漫然と潜っているだけでは得られない技術や知識、経験もあります。 私は、継続教育とは、インストラクターである自分の持っている技術や知識、経験を、まだ持っていない人に段階的に教え、自分と同じレベルに近づけるものだと思っています。 インストラクターと言う高い目標を見据えつつ、段階に分けて生徒に必要な技術、知識を教え、経験を積ませてあげられれば、どのランクの講習も価値のあるものとなるはずです。 各指導団体が出している教材を使って、型どおりに最低限の事だけをこなしていくのが継続教育ではありません。
とは言え、講習だけ受けていれば良いとは、私も思っていません。 どんなスポーツでもそうですが、上達しようと思えば、教えてもらった事をもとに、自己練習したり、様々な経験をする事も必要です。 大切なのはバランスです。 講習とファンダイビングを上手く組み合わせて初めて、ダイビングは上達するのです。 本当にダイビングにはまって、とことん楽しみたい、上手くなりたいという人には、継続教育を通じて知識や技術を深め、経験を積み、出来るだけインストラクターのレベルに近づいて欲しいと思います。 上達して初めて分かるダイビングの本当の楽しみを知ってもらう為に。
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2006年5月22日
器材の扱い方についてです。 ダイビングは機材に頼る割合が、他のスポーツ、アクティビティーに比べて非常に大きいです。 器材の故障は死につながる事もあります。 ダイビングでは、文字通り、器材に命を預けているのです。 ですので、我々ダイバー(特にプロダイバー)は器材を大切に扱わなくてはなりません。
器材で大事なのは使用後の器材洗浄です。 これをしっかりやっておけば、故障やメンテナンスの回数がぐっと減ります。 また故障や不具合が出ない様、定期的に点検や手入れをしなければなりません。 我々プロダイバーの場合、お客様の安全とサービス確保の為、使用後の洗浄、定期点検、手入れを完璧にやる必要があります。 プロが仕事で使う道具なのですから、当たり前すぎるぐらい当たり前で、なにもここでわざわざ言う事ではないのですが、残念な事にこれらが出来ていないインストラクターが結構いるのです。(特に毎日潜るリゾート地には。 洗い方がいい加減、又は洗い方を知らない、手入れはしない、又は出来ない、ちょっとの問題なら、まあ良いかと思い放って置く等々。)
その人の持っている器材の状態や、その扱いをみれば、信用できるインストラクターか、そうでないかは判断できます。 自分の器材を大切に扱わない(扱えない)人間は、お客様用レンタル器材を大切に扱える筈もありません。 初心者ダイバーに貸したレンタル機材が故障したらどうなるでしょうか。(多くの場合初心者ほどレンタルの器材を使います) 小さなトラブルでも初心者にとっては大きなストレスになりますし、大きな器材トラブルでは、パニックや事故を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
自分はインストラクターだから、自分の器材なら、少々何が起こっても対応できるから問題ないと思っている人がいたら大間違いです。 全然研がれていない包丁で料理している料理人を見て、その人の作る料理を食べたいと思うでしょうか? 刃の欠けた鋸や、カンナを使っている大工さんに自分の家を建ててもらうでしょうか? 答えはもちろんNOです。
インストラクターは自分がトラブルにあったとき、自分自身を守る事は出来て当たり前です。 問題は一緒に潜っているお客様に迷惑がかかったり、お客様を危険にさらしたりする事です。 お客様が手助けを必要としている時に、自分の器材が正常に動かなかったら、困難に陥っている人をどうやって手助けできるでしょう。
最近の器材はどれも優秀なので、ちょっとやそっと扱いが悪くてもすぐには壊れたり故障したりしません。 しかしプロダイバーとしては、器材の優秀さに頼ってばかりいるのではなく、常に手入れを怠らず、自分もお客様も、安全、快適に潜れるよう努力するべきではないでしょうか。
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2006年3月17日
通常、私たちは誰でも、やった事の無い事に当たる場合、不安を感じるものです。 しかしその不安から逃げて、新しい事にチャレンジしないのでは、進歩は望めず、一向に自分は向上しません。 不安を克服して、新しい事にトライし続ける人と、毎回そこから逃げ出す人では、先々大きな差となって出てきます。 インストラクターでも、なりたての頃は経験も少なく、色々な不安を感じると思います。 しかし、不安だからと言って、チャレンジせずに誰でも出来る仕事ばかりしていたのではいつまでたっても経験は積めません。 仕事を普通にこなして行けば、だんだん自信もついてきて経験は自然と積めると思っていたら間違いです。 運がよければ、それだけでもそれなりに経験も積めるかも知れませんが、ひとつひとつの事から得られる経験は少なく、一人前になるまでに相当の時間を要します。 プレッシャーのかかる仕事、あまりやった事のない仕事(経験豊かで、難しいお客さんをガイドする場合、あまりやった事のないランクの講習をする場合、多人数の体験ダイビング、講習をする場合等々)に対して、嫌だから出来るだけ避けて通りたいと思うか、経験を積むチャンスと思うかで、大きく違ってきます。 そう言う仕事が回って来た時に、まだ自信がないので次にしてくださいと言っていたのでは、次のチャンスは当分先、或いは二度と回ってこないかもしれません。 不安に負けて、そうならない様、不安を克服する方法はあります。 それはしっかりと事前に準備をする事です。 昔、有名サッカー選手が出ていたコマーシャルで、「練習中は自分が一番下手だと思え、試合中は自分が一番上手いと思え。」というのがありました。 これは、練習中、自分が一番下手だと思えば、人一倍練習をするだろうし、試合中は、自分が一番上手だと思えば自信を持って臨め、実力が発揮出来るという事です。 私たちで言うと、自分はインストラクターとしてまだまだなのだから準備は入念にし、本番は自信を持って臨めという事になります。 十分準備をし、ドキドキしながら実際やってみて、終わった後振り返って、反省点、次回への展望などを自分なりにまとめて初めて、生きた経験が積めるのです。 これを繰り返す事により、経験豊かなインストラクターになれるのです。
準備はまた、経験の有るインストラクターにも必要な物です。 少しばかり経験があるからと言って、自分が完成したと思い込み、毎回反省も改善も無く、同じ事を繰り返していたのでは、その人はそこ止まりです。 毎回真剣に準備してみれば、何かしら新たな発見があり、少しづつでも進歩していきます。 これは丸い廊下と螺旋階段に例える事が出来ます。 丸い廊下を歩いている人も螺旋階段を上っている人も高みから見た場合、どちらも同じ所をグルグル回っているように見えます。 しかし実際には、廊下を歩いている人は同じ所を回り続け、螺旋階段を上っている人は確実に、上に上に上っているのです。 同じ事をやっている様に見えても、何も考えない人は廊下を回り続け、常に改善し続ける人は螺旋階段を上り続けるのです。 全てのインストラクターに、螺旋階段を上る人に成って欲しいと思います。
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2006年1月29日
ここフィリピンでもNHKが見られます。 最近始まった、”プロフェッショナル(仕事の流儀)”と言う番組があります。 毎週色々な職業のプロフェッショナルにスポットを当てる番組ですが、毎回とてもためになります。 見られた方もいると思いますが、先週はパティシエ(お菓子作り職人)の方でした。 この方は最も権威のある、お菓子の世界コンクールで、日本チームのシェフとして参加し、見事優勝した経歴を持ちます。
この方は仕事の際、細部にもこだわります。 ケーキをチョコレートでコーティングする際、つやにこだわるのですが、 チョコレートの温度が高すぎるとつやがなくなり、冷ましすぎると塊が出来る。 そこで、チョコレートの粘り気だけで、最高の一瞬を見極め、温度が変わる前に、一気にコーティングします。 その瞬間を逃すと、店に出せる物ではなくなるそうです。 フルーツのムースを手で絞るときには、果汁が手の熱で溶け出さない様、時々手を氷で冷やしながら行います。 その日弟子が切った、ジャムの隠し味に使う生姜の厚さをみて、こんなのでは味が台無しになると言って注意し、自ら生姜を切って見本を見せます。 弟子の切った生姜は厚さ3mm、この方の物は2mmでした。 その他にも混ぜ具合、焼き具合等、全てが完璧に出来ないと、失敗作として廃棄処分です。 厨房には怒鳴り声が絶えないそうです。 この方が30年、菓子作りに打ち込んできた中で大切にしている言葉が、 「当たり前の事が一番難しい。」と言う言葉だそうです。
この方は修行時代、単身フランスに渡り、何年も苦労を重ねました。 そしてやっと目指す菓子職人のいる店で働ける事になりました。 この店で美味しいお菓子作りの奥義を学ぼうと、期待に胸膨らませて仕事に望みました。 しかし、この店では特別な食材は使っておらず、レシピも料理学校の物と全く同じでした。 なぜそれで特別な味が出せるのか、しばらく経って気が付きました。 飾り付けに使うフルーツは普通の物でしたが、少しでも傷んでいたら全て取り除いていました。 菓子を漬け込むお酒は、一滴たりとも残さず全て染み込ませていました。 ある日若い職人がお菓子をほんの少し焼き過ぎた時、シェフが怒り、この菓子はお客に出せないと言って、その職人を店から追い出した事もありました。 どの作業も、美味しいお菓子を作る為には当たり前の事なのですが、それらを完璧にやっている店は初めてでした。 それで思ったのが、「当たり前を積み重ねれば特別になる」と言う事でした。
全ての事をいつでも完璧に行うのは、労力も時間もお金もかかりますし、時には妥協したくもなるとおもいます。 しかし、「職人が楽をすると、ろくな物にならない」というのがこの人の考えです。 この様に細部にこだわり、当たり前の事にこだわり続けているからこそ、最高のお菓子が作れるのです。
これらは私たちダイビングのインストラクターの仕事にも当てはまると思います。 私たちも仕事をする上で、各団体が作ったマニュアルがあり、必須のスキル練習があり、指導要領もあります。 しかしこれらはあくまでレシピであり、ここに奥義は隠されていません。 このレシピを使って、各自が如何に細部にこだわり、当たり前にこだわるかで、全く違った内容になります。 この事を常に念頭に置きながら仕事が出来るかどうかが、良いインストラクターかどうかの分かれ目になるのではないでしょうか。 インストラクターとして経験を積めば積むほど、仕事の要領はつかめてきますが、要領よくなった分、自分が楽をしていてはいけません。 たとえ手間や労力がかかり自分は大変でも、お客様に、より快適に、より安全に、より楽しく、より上手になってもらえる様、要領良くなった分も含めて、全ての力を尽くすことが大切だと思います。 忙しいから、時間が無いから、面倒くさいからなど色々な理由で、少しづつあきらめ、こだわりを捨て、妥協をして、こなすだけの仕事をしていたのでは最高の物など望むべくもありません。
この方は30年以上も菓子作りに打ち込んできました。 修行時代など、大変な思いをして、やめようと思った事はなかったですか、との問いに、「自分は同期の見習いの中でも一番出来が悪く、覚えも悪く、何をするにも人一倍時間がかかった。 しかし今考えるとそれが良かったと思う。 なんでも簡単に器用に出来たら人は努力しなくなるから。 不器用なので人一倍努力しないとやってこられなかったから今の自分があると思う。」と答ています。 この方は飽くなき向上心で、いつでももっと美味しいもの作ろうとしています。 「満足しない事が大事で、自分が凄いんだと思ってしまっては絶対だめ。 満足したら進化は無い。」と言います。 プロフェッショナルとは、との問いに「永遠の未完成でいたいと思っている。 今日よりも明日、明日よりもその次の日に、もっと美味しいお菓子を作れる様に。 あきらめないで自分を高めていきたいと思う。 それがプロなのではないですかね。」と答えています。
全ての一流と言われる人、また、それを目指す人は全て、向上心を持って努力し続けていると思います。 インストラクターを目指す人、すでにインストラクターの人も常に一流を目指し、向上心を持って努力していって欲しいと思います。 私たちインストラクターの仕事には、進化か退化しかありません。 日々努力をしている人は進化します。 何もしない人は退化して行きます。 現状維持も出来ません。 なぜなら努力をせずにこの仕事を続けていると、経験が長くなるに従い、仕事に対する新鮮さ、ひたむきさ、恐さが薄れて行き、安全に対する感覚やお客様を思いやる気持ちが鈍くなるからです。 自分も含めて、常に初心を忘れない様、努力し、進化し続けていく事が大切だと改めて思った今日この頃でした。
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2005年12月03日
インストラクションとガイドの関係について書きます。 ファンダイビングに来るお客様で、経験本数がそれなりにあるのに、手を貸さなければまともにダイビングが出来ない方に出会った時に思うのが、なぜ、今まで誰もこの人にダイビングを教えてあげなかったのだろうと言う事です。 初心者の場合は、初心者講習を受けた環境、期間、本人の能力など色々な要素が重なって、初心者講習を受けただけでは、十分に上手くなれなかった人も中にはいると思います。 しかし何十本も潜っているにもかかわらず、満足にダイビングが出来ないと言うのは、それまでにその人が関わった全てのダイビングショップ、インストラクターにも非があるのではないかと思います。 なぜならその人が今まで出会ったインストラクターたちはその人に何も教えてあげていないからです。 もちろんちょっとアドバイスしたぐらいではなかなか上手にならない人もいますが、各インストラクターがファンダイビングの時でも、すこしづつ何かを教えてあげていれば、徐々には上達していくと思います。 しかし実際の現場では、ほとんどのインストラクターやガイドたちが、上手くない人に安易に手を貸してあげてその場を乗り切り、本人たちはお客様に楽しんでもらえたからよしと思っているように思えます。 短期的に考えればそれも善しなのかもしれませんが、長い目で見ると、そのお客様はいつまでたっても人の手をかりなければならず、いつまでたっても中、上級者向けのポイントは潜れず、マクロに興味がわいても生物に近づく事も出来ず、上手くなった時のダイビングの快適さを知る事も出来ず、いつまでたっても、なんとかかんとかダイビングをやっているだけになってしまいます。 例えて言うと、発展途上国の人々に、先進諸国がお金や物資を支援した場合、その場は何とかなりますが、根本的には何の問題解決にもなっていません。 問題の根本的解決をせず、物質的支援を続けてしまうと、下手をすれば人々は支援される事に慣れてしまい、自分たちで努力する事を放棄してしまうかもしれません。 或いは、本当は他国の支援など無くてもやっていけるようになりたいのに、問題が大きすぎて自分たちではどうする事も出来ず、支援を受け続ける事に甘んじるしかない状態にしてしまうかもしれません。 本当に必要なのは、その人たちが将来的に自立して生きていけるように、技術を教えたり、その土地で育つ農作物を提供したり、開発したりして、独自の産業を生み出せる基礎を作ると言う支援なのではないでしょうか。 ダイビングにもこの事はあてはまると思います。 ダイビング技術が発展途上な人に必要なのは、目先の手助けではなく、時間や手間がかかっても、上手くなれるようにコツを教えてあげたり、トレーニングをしてあげたりする事なのではないでしょうか。 またそうして行かないと、発展途上国の人々の例と違い、数あるレジャーの中のひとつであるダイビングの場合、それに固執する必要が無いので、自分がいつまでも初心者のままで手助けが必要な状態が続くと、つまらなくなってしまってダイビング以外のレジャーに走ってしまうかもしれません。 講習とファンダイビングを完全に別物と考えて、ファンダイビングのお客様には魚や生物の話しかしないインストラクターが結構いますが、情けは人の為ならずと昔の人も言っています。 少しぐらい手間がかかっても、自分の所に来たスキル不足のダイバーには、ブリーフィング時や水面休息の間、ログ付けの時など、折を見てアドバイスしてあげたり、水中で練習させてあげたりして、すこしづつでもスキルアップさせてあげた方が、今後のダイビング業界のためでもあるのではないかと思います。
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2005年12月01日
このコーナーを読んで頂いた方から、器材について書きました私のコメントが、メーカーや、それを扱うショップの批判ともとられかねないのではないかというご指摘を頂きました。
そこで、あらためて読み返してみた所、確かに批判と取られても仕方の無い、適切では無い表現がありましたので、今回一部修正させて頂きました。 ご指摘誠にありがとうございました。
今回のご指摘の件に関しては、全文削除と言う選択もありましたが、検討の結果、内容は変えず、誤解を招かない様、表現を修正するに留めさせて頂きました。 これは、私が器材について書かせて頂いた趣旨が、プロダイバーを目指す方に、器材選びで回り道をして欲しくないと思ってのことだったからです。 プロになると常に一般ダイバーの視線にさらされます。 技術だけでなく、使っている器材もお客様は見ています。 特に講習の時などは、器材の選び方も講義しなければならず、なぜ自分は今の器材を使っているのかも説明しなければなりません。 ですからプロダイバーは、値段が安いからとか、流行だからとか、かっこいいから等の表面的な理由だけで器材を選んではいけないのです。 どの業界でもプロは一流の道具を使っているものです。 そうでない機材を安易に買うと、後にまだ使えるのに買い換えなくてはならなくなります。 そのような回り道を、これからプロを目指す方がしないですめばそれに越した事は無いと今でも思っています。 そこで、ある程度のご批判は覚悟の上でコメントは残させて頂きました。
今後も当Webサイトを訪れて頂いた方のご意見、ご指摘等は真摯に受け止めさせて頂きたいと思っています。
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2005年11月04日
前回に引き続き、今回もBCDについてです。 最近各メーカーがこぞって出しているBCDに、蛇腹のインフレーターホースを無くしたモデルがあります。 これはアイデアとしては悪くないと思いますが、出るのが遅すぎた感があります。 BCD創世記にこのモデルが出ていればメリットもそれなりにあったかもしれませんが、これだけ現在の蛇腹の型が普及した後に、従来の構造を大きく変えてまで今更蛇腹を無くすのは、メリットよりもディメリットの方が大きいと思います。 そもそも蛇腹のインフレーターホースは、そんなに邪魔でしょうか。 私は蛇腹のホースを邪魔に感じたことなど一度もありません。 この蛇腹ホースを無くす為に、BCDの構造を変えると、緊急時にバディや他のダイバーが、とっさにちゃんと操作できない可能性が高くなります。 このような事は、潜水前にバディ同士がしっかりバディチェックをしていれば、少なくともバディ同士では防げるのですが、バディ以外の人に対してはこの限りではありません。 また実際には、潜水前にバディチェックをしっかりやっているダイバーはそう多くはありません。 つまり少しぐらい良いからといって、人と違う器材を使っていると、自分に何かあって、助けが必要になった時に不利になります。 当然、インストラクターはこの様な、一般的でない器材を使っていたのでは、普通の器材を使っている一般の人たちに、講習や指導が出来ません。 つまりこのモデルは、全てのメーカーがこのタイプの物をメインで作り、ダイバーも大多数が使用しない限り、ディメリットの方が大きいと言う事です。
器材について続けて書きましたが、ダイビングは器材に頼る割合が大きいので、プロダイバーとしては一つ一つにこだわり、吟味して買う必要があると思います。
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2005年10月26日
前回の続きで、今回も器材について。 これについてはEMERALD GREENショップ内でも時々話題に出ますが、BCDについてです。
これも各メーカー色々アイデアを競っていますが、アイデアが先走りすぎて、トータルの面での使いやすさや安全性が忘れられる事がしばしばあります。 例えば、一部メーカーが採用している、自動?排気ボタン付のBCD。(正式名はなんと言うのか知りませんが、ボタンを押すだけで、ホースを頭上に上げなくても、肩に付いている排気口がパカッと開いて空気が抜けるシステムの事。 以後自動排気ボタンシステムと言う) これはインフレーターホースを頭上に上げなくてもボタンひとつで排気が出来るというのが狙いだと思うのですが、構造の複雑さのわりに効果が薄く、使い慣れるまでは、安全面でも疑問符がつくと思います。 何が問題かと言うと、このシステムは、使う人に、このボタンさえ押せば(どんな姿勢でも)空気が抜けるんだという誤解を与えてしまうと言う事です。 そもそもBCDと言う物は(現在までに発売されている全てのBCDに共通して)どんなBCDでも、排気される場所を一番高くしなくては空気は抜けないのです。 これは、聞けばそんなの当たり前だと思うかもしれませんが、本当の意味で分かっていないダイバーが結構います。 中性浮力の取れないダイバーのほとんどは、この事を分かっていません。 中性浮力が取れない=オーバーウエイト=BCDの空気を完全に抜けない=この事(排気される場所を一番高くしなければならない)を分かっていない という構図だからです。 自動排気ボタンシステムでも、この排気される場所を一番高くしなければ空気は抜けないと言う原則は変わらず、結局万能の自動排気ボタンではないのです。 もし、ボタンさえ押せば空気が抜けると誤解している人がいたら危険です。 意思に反した浮上につながります。 ボタンさえ押せば空気が抜けると言う誤解→実際には抜けない→手間取っているうちにどんどん浮上→水面に到達 となるからです。 実際このシステムは、ボタンを押すと肩の上にある排気口が開くと言うだけの物で、それほどたいそうな物ではないのです。 肩口の排気バルブに繋がっているひも、或いはインフレーターホースを引っ張れば空気が抜ける、通常のBCDと何ら変わりはないのです。
もうひとつ、別の問題点としては、給気ボタンと自動排気ボタンが同じ形で、並んで真横にあるということです。 一応色分けはされていますが、水中でボタンを見ながら押す人はいません。 排気しなければならないときに給気してしまうと、即急浮上ですので危険です。 このシステムは排気バルブのひも、或いはインフレーターホースでちゃんと排気できる中、上級者には必要のないものですし、それがちゃんとできない初心者は、このシステムを使用しても、ちゃんとは抜けないです。
ボタンひとつで(正しい姿勢であれば)排気が出来るメリットと、使用者に与える誤解や操作ミスが招くディメリットを考えると、得られる物は多くないのではないでしょうか。
今日の安全停止はこれにて。
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2005年10月17日
今回は器材についてです。 巷には各メーカーがアイデアを搾り出して必死に開発した色々な器材が売られています。 すばらしいものもあれば、実際使ってみると、従来の物と大差が無かったり、逆に使い勝手が悪かったりするものも有ります。 通常は、アイデアが先走った、変り種の器材は、しばらくすると市場から消えていくものですが、最近では逆に大当たりしてしまう事もあるようです。 私が思う、この種の大当たりの例が先割れフィンです。 これは販売当初各所で話題になり、経験のあるインストラクターたちから多くの批判的な意見が出ましたが、メーカーサイドの派手な宣伝が功を奏し、フィンキックの苦手な一般ダイバーや、新しい物好きの人たちに支持され、結構売れました。 それを見た他社メーカーがこぞって特許を買い、今や結構な数のメーカーが先割れフィンに手を出しています。 こうなってくると、先割れフィンがマジョリティーになる日が来ないとも限りません。 先割れフィンも色々有りますので、一概に全てが全くだめとは言いませんが、少なくとも、どれも中、上級者向きのフィンではありません。 そう言わざるを得ない、先割れフィンの最大の欠点は、基本的にダウンキック時の事しか考えていないと言う事です。 初心者のうちはしっかりダウンキックが出来るように練習した方が良いので、先割れフィンでも良いかも知れませんが、上達するにしたがって色々なキックを覚えていくと思います。 その過程で、この種のフィンを使っていたのでは上達の妨げになります。 なぜならこのフィンは、その特性ゆえ、フィンを横に滑らせられないからです。 この、フィンが横に滑らない特性と、水を逃がすそのデザインにより、初心者でも、自転車漕ぎにならないように気をつければ、横滑りしないし、蹴り心地も軽めなので、楽にダウンキックを覚えられると言うのが、このフィンの唯一の利点ではないでしょうか。 ただ、間違って自転車漕ぎになってしまっていても結構進むので、逆に正しいフィンキックを覚えられない可能性も大いにあります。 なぜフィンを横に滑らせられないと駄目かと言うと、まずあおり足が出来ないのがひとつ。(あおり足が出来ないと、砂地で砂を巻き上げやすい、ダウンキックで脚が攣ったりした時に、代わりになるキックがない等、不便な事が多い) そして足首を使っての、色々な形の細かいフィンワークが出来ないため、小回りが利かないと言うのがもうひとつ。 これら、中、上級者であればそれなりに使いこなしたいフィンワークについて、考慮されていないのでは、得られた利点よりも、失ってしまった物の方が多いのではないかと思います。 先に述べたように、初心者にとっては利点が無いとも言えないので、使い方さえ誤らなければ(自転車こぎにならなければ)良いと思いますが、ダイブマスター、インストラクターがこのフィンを使うのは(一般ダイバーへの影響を考えると)控えた方が良いのではないかと思います。 プロダイバーは、常に一般ダイバーのお手本でなくてはならず、さりげなく高度な技術を使いこなしつつ、海でのマナー、安全、楽しみ方等を伝えていくのがあるべき姿だと思います。 器材ひとつを取っても、自分がその器材を選んだ理由があり、それを人に伝えることが出来、一般ダイバーが器材を選ぶ際に手助けになると言うのが本物のプロではないでしょうか。 今日の安全停止はこれにて。
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2005年9月26日
ファンダイビングの世界では、最近と言うか結構前から、マクロの人気が高まっています。 これに伴い、どこのダイビングサイトでも流行のもの、珍しいもの、小さいものを前面に出して宣伝等をしています。 この流れ自体は、ダイビングの楽しみ方の一つとして受け入れられるものです。 私自身もマクロは好きですし、好きな人には、出来るだけ色々見せてあげようと思います。 しかし、以前から疑問に感じている事があります。 それは、珍しい生物を知っている、見せられるだけで一人前、下手をするとカリスマガイドなどと勘違いしているインストラクター、ダイブマスターが増えている事です。 生物をたくさん知っているのはすばらしい事です。 その海で普通に見られるものの名前さえ知らないのではガイドとして失格です。 色々な物をお客様に見せてあげようと言う思いも、とても大切だと思います。 それがお客様の要望であれば尚更です。 問題なのは、独りよがりなガイドをする人たちです。 良くいるのが、自分の好きな生物ばかりお客様に紹介し、お客様の反応、要望を気にしないタイプです。 このタイプの人は、初心者だろうが、マクロに興味が無い人にだろうが、ひたすら自分の好きな生物、珍しい生物、小さい生物を見せまくります。 下手をすると、お客様はもううんざりしているのに、わざわざ呼びつけて、OKサイン出すまでしつこく見せようとしたりします。 それで自分は一人前のガイドだなどと勘違いされては、ガイドされるお客様にとってはいい迷惑です。 あとよくいるのが、魚を探す、見せる事にばかりかまけて、お客様の状態を全然気にかけない人です。 これは初心者やブランクが空いてる人、ダイビングに不安がある人がいても、気にせず(気付かず?)、ひたすら生物を探し、見せる事に専念しているため、お客様が大変な思いをしていても気付かない、または生物を見せる為にお客様の技術にそぐわない、きついコンディションに連れて行き、お客様に大変な思いをさせているようなガイドです。 不安のあるダイバー、スキルが未熟なダイバーには、最初それなりのケアをしてあげて、水中で落ち着かせて、周りを見る余裕をまず作ってあげる必要があります。 そして、徐々に見やすいものから順に見せてあげないと、いくら珍しいものを見せていても、実際には全く見えていません。 また珍しいものがいるからと言って、未熟なダイバーを、流れが強い場所、或いは深い場所まで無理やり連れて行っては、お客様は大変な思いをするだけでなく、危険な目に会う可能性もあります。 この様なインストラクターたちに限って、自分自身は講習で自立したダイバーを育てられないにもかかわらず、下手なダイバーのお守りをするのはガイドの仕事ではない、ダイビングはオウンリスクだから、認定ダイバーは自分たちで安全管理をするべきで、ガイドはガイドに専念すればいいなどと戯けたセリフを吐きます。 ガイドは、まずその日の海のコンディション、お客様のスキル、体調、要望等を総合的に考え、その上で自分のガイドの組み立てを考えるべきであり、自分のガイドの組み立てありきではないのです。 ガイドの仕事をするためには、まず、体験ダイビング、講習等をしっかりやって、お客様の状態を見極められ、状況に応じて臨機応変に対応できる能力を身につける必要があります。 その後、それぞれの海のコンディションを熟知し、最後にそこで見られる生物の知識、ガイドの組み立て等を磨いて、やっと一人前のガイドとしてデビューできるのです。 良くオタクダイバーとか言いますが、オタクで良いのはお客様だけであって、ガイドが生物知識だけに秀でた、ただのオタクダイバーでは困るのです。 最初にマクロ、オタク等いろんな名称で生物の魅力をダイビングの世界に広めた先人のガイドさんたちは、私の言っている事などガイドとして当たり前すぎて、語る事さえなく普通に実行していたと思いますが、後に先人の活躍を見て、雨後のタケノコの様に出てきた自称ガイドたちは、本質が分かっていない為、安易に先人の上っ面だけを真似て、一人前のガイドを気取っているように思えます。 事故を起こさないうちに、自分たちの過ちに気付いてくれる事を願いながら、今日は終わりにしたいと思います。
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